自転車と南の島ノート

フランス旅行記 5日目: またね

Dec 6 2005 , 0 comments

フランス最終日。日本に帰る日。空港に行く前にボキオン家に立ち寄り、ブランチに招待してもらう。昨日ほどではないが小さなホームパーティーのような雰囲気で、昨日からの親族も半分くらいが参加。昨日の結婚式で撮った写真をテレビに写してみんなで見ながら、その場で好きな具を入れてサンドウィッチを作って食べる。シャラン付近の名産、アヒルがおいしい。例えるなら、やわらかいコーンビーフみたいな感じ?

最初は大勢の外国人(というか僕らのほうが外国人だけど)の中にいて、周りで話されているのが英語ならまだしもフランス語なので会話に出てくるひとつの単語も理解できず戸惑いと疲れがあったけれども、このころにはそういう環境にすっかり馴れてきた。

言葉が通じないながらもフランスの皆さんの日本人に対する歓迎っぷりはすごくて、僕らの滞在中、毎日玄関にフランスと日本の国旗を掲げてくれていたようだ。そういえば、初日の食事会や昨日のカクテルパーティーでも2つの国の小さな国旗がテーブルの上に飾られていた。親族が僕らより一足先にパリや他の街の帰途につくたびに、日本人一人ひとりに別れを告げてくれる。中には両頬を付け合うフランス式の挨拶をしてくれる人も。その度にこちらはガイドブックで覚えたたったひとつの別れの言葉「ア ビヤント(また近いうちに)」しか言えなかった。

自分たちも空港へ行く時間になり、残った旦那の両親や兄弟と一人ひとりお別れの挨拶。そこでも「ア ビヤント(また近いうちに)」を繰り返す。相方と、旦那の兄のお嫁さんという妹から見ると直接血のつながった親族ではない2人が誰よりも先に涙ぐんでいたのがちょっと不思議ではあったけれど…。

父ピエールさんと妹と旦那のアントワンが空港まで送ってくれるため、車に乗り込む直前、旦那の母ジゼルさんがウチの両親に歩み寄ってきて英語で話し掛け、それを妹が訳す。「私は空港まで送りに行けなくてとても残念だけど、また会える日を楽しみにしてる」というようなことを言っていた気がする。それまで飄々としていた母が感極まって泣き出し、ジゼルさんも泣き出し、言葉が通じない母親同士で抱き合って2人で別れを惜しんだ。車が家の門を出た後も、見送ってくれた人も車に乗っているこちら側も、お互いが見えなくなるまで手を振っていた(まるでウルルン滞在記)。

空港までの約1時間の道のりは終始無言。ナント空港に到着後は、パリでの乗り換えでも荷物を受け取らなくてよくしてくれたりと、ピエールさんとアントワンがエールフランスの無愛想なチェックインデスクの人と話していろいろ手続きしてくれた。

搭乗口に向かうため、ここで3人ともお別れ。誰ともなく、みんな涙ぐむ。日本語と英語とフランス語で別れの挨拶が飛び交い、握手して、抱き合う。言葉は通じてたかわからないけれども、近いうちにまた会えるよとか、娘さんは大丈夫ですよとか、お互いの言葉や文化をもっと知りたい気持ちとか、相手の気持ちがわかった(ような気がした)。初めて「言葉は通じなくとも思いは伝わる」という言葉が、どんなことなのか実感できた。最後はアントワンが一番号泣していた。ここでも見えなくなるまで何度も振り返って手を振り続けた。また来年、日本かフランスで会おう。英語でメールも送ろう。

パリまでの飛行機でも母は酔った…。シャルルドゴール空港では、乗り継ぎのための空き時間、両親がフランスを名残惜しんでおみやげを大量購入。その後、JALに乗り継ぐ。

JALの飛行機に乗ると突然、子連れの女の人に声をかけられた。小学校の時の同級生だった。どうやらナントからの飛行機でも一緒の便だったようで、ナントの空港に日本人がいるのは珍しいので目立っていて、気づいてくれたらしい。そういえば数年前、地元の友達から「フランス人の男の人と結婚した同級生がいるよ」と聞いていたが、当時はまったくフランスに興味がなかったのですっかり忘れていたが、それが彼女だったようだ。

彼女はフランス人と結婚して現在はナントから東に行ったレンヌという街に住んでいて、子供が生まれたので親に顔を見せに、ひとりで帰国するところとのこと。妹のことを覚えていてくれたらしく、シャランに住んでいる話をしたら興味を持ってくれて、ぜひ会いたいと言ってくれた。できたら日本滞在中に一度会う約束をし、成田でわかれた。しかし1歳にもならない子供を連れて、ひとりで飛行機に乗るとはエライ。

初の海外旅行で12時間という長時間の飛行機を体験して疲れているだろう両親は、成田に着いた途端、動きが生き生きとしだした。やっぱり日本が一番いいみたい。そういう自分も、帰りに寿司食べたけど。

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